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2024.1.17
座談会 採録
12月2日に開催されたアートパークでは、スケッチパーティにご参加いただいたアーティストの方のトークを開催いたしました。
スケッチパーティでは、普段はそれぞれの制作環境で、それぞれのスタイルで制作をされている15名のアーティストが、公園で参加者の方々と一緒に同じ材料を使って絵を描きました。スケッチパーティは、私たちがアーティストの創作の現場に立ち会える場となりましたが、アーティストの皆さんにとっては自身の創作の過程を公にさらす場にもありました。実際の制作活動は、アーティストとして作品のコンセプトを練って作品を作りあげる行為というよりは、ただ目の前の出来事や風景を描き出すということに重点を置いて実施していただきました。それによって、絵を描きはじめた子どもの頃に立ち返るようなことにつながった方もいらっしゃったようです。
スケッチパーティに参加したアーティストたちの言葉からはアーティストの創作のエッセンスについて垣間見ることができます。どうぞお楽しみください。
聞き手:O JUN、吉田有里、笠木日南子(クリエイティブ・リンク・ナゴヤ副ディレクター)
1グループ:Ojun、大田黒衣美、川角岳大、こいけぐらんじ、近藤佳那子
笠木:このプロジェクトは、実は O JUN さんのご経験をきっかけにして立ち上がっています。Oさんの創作の原点として、子供のころに絵を描き始めた時に、みんなで一緒に絵を描いて、隣の人の真似から始まったということ、また、Oさん自身が作家としてご経験を積んでこられた中で、ある時、初心に返って外に出て絵を描いてみようと実施したところ、ご自身の創作への新たな気づきにつながったというお話を今回企画に入ってくれた青田さんを通じてお聞きしました。それに加えて、外で絵を描く行為というのは、まさにモダンアートの始まりでもある印象派の画家たちの試みでもあったなぁといことで、野外でみんなで一緒に描いてみようということで始まった企画です。
O JUN :今お話いただきましたけど、私が小さい頃に描いた絵の話をしたっていうことがきっかけで始まった企画で、正直、それで皆さんに大変なアーティストの方々に寒い思いをさせてしまったのか申し訳なく…。でも描かれた作品を拝見すると、皆さん思い思いに、それぞれの素晴らしい作品が描かれているので、非常に嬉しく思います。
笠木:それぞれ、普段制作されている様子と全然違った感じで絵を描いていただいたんですけれども、今日一日寒い中でみんなと一緒に絵を描いた感想などをいただけたら。
大田黒衣美:いつもはスタジオとか室内の中で描くのですが、そうすると自分で環境を作れるもので、エアコンをつけてみたり、清掃したりとか、だんだんちょっと神経質になっていって、絵を描きたいのか、掃除したいのかわからないみたいな感じになってくるんです。
今日は、カルトンの上に蜂が止まったり、椅子の上に子どもたちが乗ってきたり、自分が机だと思っていたところにも子どもたちが乗ってきたりして、スタジオの中で神経質に張りつめて制作するといういつもの環境とは違いましたが、そういったコントロールが効かない状況が面白く新鮮でした。双眼鏡を覗いて描いていたのですが、いつもとは違う身体感覚で絵を描けたのはとても楽しかったです。制作にも集中できました。
O JUN :大田黒さんが双眼鏡を見ながら描いているのが面白いなと思ってずっと拝見していたんですけど、双眼鏡は覗きながら手元は見ないで描くんですか?目はずっと双眼鏡の中を見て、手は手で勝手に動かして描いているんですか?
大田黒:はい、もう、紙の方は見ずに描いています。
O JUN :なるほど、ロダンのように描いていたんですね。
大田黒:そうですね。紙の絵の状況は自分で把握できないんです。描いている感覚だけはあるんですけど、それが紙の方に反映されていないという状態です。
O JUN :結構深い話をしていただけているなと思います。ありがとうございます。
近藤:私は今日は、7対3の割合でコーヒー屋さんになっていた感じなんですけど、でも普段も一人きりで絵を描くことと、スペースを持ってそこで誰かと話しながら描くといった、誰かとじゃないとできないことの両方をやっています。それがここ6年ぐらい続いている自分のサイクルですが、それが今日ここでついに同居したという感じです。自分にとってとても不思議な体験だったし、(たくさんの人とともに描くことで)自分の力以外のものに影響を受けるような、自分の制作にも大きいインスピレーションを得たような感じがしました。
笠木:川角さんはいかがでしたか?
川角:僕は今日、ずっとテレビ塔を描いていたんですが、初心に返るような気持になりました。小学生ぐらいの頃に、名古屋城や市政資料館など、名古屋の建物を描くことにハマっていた時期があったんです。
その頃も今日と同じようにボールペン一本で、ひとりでこういう場所でスケッチブックを開いて地道に描いていたので、その時のことを思い出しながら描いていました。意外と昔と今とそんなに変わらないものもあるなと思いました。
笠木:ありがとうございます。まさに初心にというか、若い時の気持ちに返るようなお話でしたね。
O JUN :川角さんはまだお若いからすっと初心に戻れるのかもしれないけど、僕なんか初心忘れちゃってますよ。60年以上前ですからね。小さい時も同じようにボールペンで建物を描いていらしたとのことだけれど、(川角さんの絵を)拝見したら、このテレビ塔を横に三枚に並べて顔を(正面を)描いていて。描き方も非常に面白いけれども、そのボールペンの線も非常に楽しいんですよね。
僕は川角さんの幼い頃はもちろん存じ上げないですけども、今のお話の中と今日の絵がすっとつながっている気がします。ありがとうございました。
笠木:川角さんは三つの画用紙を横に一枚ずつ横にしたままテレビ塔をつなげて描いていらっしゃったので、90度横にして見ないといけない感じだったんですけど、本人の中ではちゃんと立っているというのが面白かったです。ありがとうございます。こいけさんはいかがでしたでしょうか。
こいけぐらんじ:普段と違い、人に見られるのがすごく新鮮で、描きながら「上手ですね」とか言われてテンションが上がってしまいました(笑)。それがいいのか、悪いのか、もしかしたら冷静に描けてなかったかもしれないですけど、褒められながら描くっていうのがとても楽しかったです。
笠木:こいけさん、今日はすごい道具をお持ち込みいただいていましたね。まさにプロの画家の道具といった感じの200色のパステル。
こいけ:そう、シュミンケー。ドイツ製のちょっとお高いパステルを2ヶ月くらい前に買ったので、せっかくなので持ってきました。
笠木:太田黒さんもご自身の双眼鏡をお持ちになられていましたが、アーティストの皆さんがそれぞれご自身の画材などを持ち込まれていたのを見ることができたのも、新鮮な体験だったかなと思います。
―――
2グループ:設楽陸、須田真弘、染谷亜里可、土屋未久
O JUN :本日はベテランの方から初めてお会いした方もいらっしゃったのですけど、先ほどずっと吉田さんと作品を一緒に見て回ってそれぞれに楽しませていただきました。また、制作の仕方が非常にユニークな方もおられましたし、まだ感動の心が感動で泡立つような感じが自分の中でおさまらないところもあるので、お話をそれぞれお伺いできればと思います。
土屋未久:いつもは家で一人でヘッドホンをして外からの影響を受けないようにして絵を描いています。普段は何かを見て描くことがないので、久しぶりに物を見て描くことがすごく新鮮でした。小さい時は友達と一緒に描いていたのが、大人になるにつれてみんないなくなっちゃったなっていうのをすごく感じていて、今日は友達が戻ってきたみたいな気持ちですごく楽しかったです。
笠木:土屋さんもご自身の子供の頃の体験とオーバーラップしたっていう感じだったんですね。
O JUN :土屋さんはすごい素敵な色の重ねの柔らかい深みのある絵を描かれていましたね。僕も描いていただきましたね。ありがとうございます。なんか、背中がゾクゾクするなと思ったんですよ。触られてるようなね。目で触られてたんですね。
須田真弘:僕もだいたい普段は一人のアトリエで描いているので、今日みたいな感じで描くのは、学生の時以来ですかね。もう30年ぐらい前です。実は学校の仕事で、野外クロッキーの授業もたまに行うのですが、自分は殆ど一緒に描きません。だいたい学生さんの描いている様子を見てアドバイスとかをしています。今日はいざここで青空のもとで描くことになり、実はかなりプレッシャーを感じていました。普段は偉そうなことを言っているのですけれど、いざここのステージに立つとなると、昨日あたりからちょっとゾクゾクプレッシャーがかかってきました(笑)なんとか乗り越えなきゃ、ということで、最初からスピードを上げて取り組みました。後半、おそらく集中力がなくなってきますので、早めに作品を描き切ろうと頑張ってなんとかできました。結果、なかなか良い経験になったと感じました。これからもちょくちょくやってみたいなあっと思いました。
笠木:プレッシャーというのは、どういったプレッシャーでしたでしょうか? 描き上げなきゃいけないとか、あるいは人前で描かなきゃいけないとか、そういう感じでしょうか?
須田:周りに大勢の人がいるので、なんとなく見られている様な感じがあるじゃないですか。実際は、みんな見ていないのでしょうけど。でも、描きはじめたら、ほとんど気になりませんでした。もう自分の世界みたいになっちゃって。ただ最後パッと我にかえって、気が付くといつもと違うというか、いっぱい人がいて、わーっという、いつもと違った感覚ですかね。逆に、それが力になるみたいなのを今日は感じました。一人のときはちょっとダラダラと言いませんけど、まったりしちゃう時があるので、自分の時間になりすぎちゃって。だけど、今日みたいに人と一緒に限られた時間の中で制作するとなると、その方が集中してできるみたいな、ある意味緊張感があるので、良いことなのかなっていう気もいたしました。
笠木:なんか、画家の方が絵に向かう世界とこの場所の外の空間の世界とがなんかこう交流するみたいな、ちょっとそういうイメージを与えてくれるような面白いお話でした。ありがとうございます。
設楽陸:僕も普段スタジオで一人で描いているっていうか、スタジオで仮想空間に行って描いています。スタジオでずっと仮想空間とリアルの世界を往復しながら描いているんですが、実は、今日やったみたいに、外に出てVRっていう最新テクノロジーを使って野外スケッチとかしてみたいなって思いは、VRゴーグルを使って描き始めたころからありました。
今日は、僕はパラソルをかついでVRゴーグルかけて怪しいことしている人に見えていたと思いますが、VRゴーグルってそもそも屋外ではできないんです。というのも、紫外線に当たるとガクガクとなってしまい、絵が描けないので、パラソルで紫外線を塞ぐ装置を発明して今日は挑みました。最初どうなるか不安だったんですけど、絵も上手く描けたし、みんなも声かけてくれたり、面白がったりしてくれて、リアルで描く皆さんと違う形態のスケッチでしたけど、僕自身今日はすごく楽しかったです。
O JUN :今、絵の描き方をVRを使って外で描くっていう話をしていただきましたが、僕は今日初めて拝見したんです。これまで、学生さんがそういうものを使って自分のアトリエの中で描いているのは、時々見てはいたんですけど、外でやっているっていうのはなかなか見られない状況で、モネの絵の崖の上のパラソルをさす女性がそのままここにいて、でも描いているという非常に不思議な気分で拝見しました。
僕はVRについて全然詳しくないので難しいことは分からないんですけど、妙なリアル感が描かれている中にもあって、おそらくそれが何かを手探りで描こうとしているという部分はVRにもかかわらず非常に身体的な感じがあって、VRでやるのと実際に画面に向かうのと同じとは言わないけどもすごくリアルなものを感じました。
設楽:やっぱりVRをしてもすごくフィジカルなんですよね。頭脳は別の世界に行っているかもしれないですけど、描くということはやっぱりすごく身体的で、それが面白いことかなと思っています。
O JUN :なるほど面白いですね。ある意味自分が外で鉛筆とかそういうのを持って描いているものを、自分が描いているところを設楽さんがなぞり描きをしてくれているようなね。そういう、「見るリアリティ」と「自分が描いているリアリティ」が重なる感じがありましてね。非常に興味深く、拝見させてもらいました。
笠木:ありがとうございます。最後、染谷亜里可さんいかがでしたでしょうか
染谷亜里可:私もドローイングを家の中でしていることが多くて、そういう時は頭と手のやりとりなんですけど、外に来てみると、もう何も見えてないんですよね。これは予想どおりでもあったんですけど。自分が景色を見ているんですけど、見ていることにならなくて、しかも、描き出しても私は素直じゃない。もう素直にやれない。自分の中で、素直に見たものを描こうっていうこと自体がもう作為になってしまう。だから、もう最後は自分に引き寄せて持って帰って描こうと思ったけれども、そこまで行くのに結構時間がかかりました。そのきっかけはトイレに行ったんですよ。お昼まではちょっとカレー食べながらもシーンとしてたんですけど、トイレに行って戻ってくる時にずっと見ていた景色が急にちょっと遠くなっただけで、塊になってきて見えたってなったんです。この中からちょっと離れてそう少しだけ遠くに行ったら、自分のやりたいこととちょっと繋がって、やっと、そこから始まったって感じです。
笠木:面白いですね。染谷さんはやる前からご自身の制作活動とどうつながるかご心配されていましたよね。アーティストの方はずっと絵を描いて来られていて、それこそ美大に入るためにも山のような絵を描いてらっしゃるので、それぞれの制作スタイルを確立していらっしゃる。それなのに、今回のように強制的にみんなで野外で絵を描こうと、それぞれ確立されてきたスタイルを無視するような制作環境でやっていただくというのはある種過酷なことだったかと思います。
染谷:はい、今日は想像通りなかなか...。
O JUN :今日染谷さんがずっと奥の方でいろいろとドローイングをしてらっしゃって、これは全部部品なんだなあと思って拝見していました。これらを今日持ち帰って、またいろいろとスタジオの中できっと組み直されたり、組み立てたりされるんだろうなと、それもすごくお話を伺っていて、リアルだなと思いました。
今日はまだこれから次のアーティストの方たちのお話もお聞きしますが、皆さんそれぞれお話されることが全部やっぱり自分のやっていることにもどっか重なるのでね。皆さん同じような時間や空間や感覚の中でやったりとか、同じようなものを共有しながらやっているんだなと思いながら聞いていました。どうもありがとうございます。
―――
3グループ: O JUN 、古畑大気、森北伸、山口由葉、横内賢太郎、鷲尾友公
笠木:最後のグループになりましたけれどもOさんいかがでしょうか。
O JUN :先ほどずっと吉田さんにみなさんのところに誘導していただいて、すでにいろいろなお話をお伺いしましたけど、先ほどの方たちのお話とまた違うリアルな制作の話が伺えるんじゃないかな、と思います。
鷲尾友公:僕はもう全然描けてないです。こんなに描けないんだって思って、ちょっと今日はやけ酒して無理やり寝ようかなと思ってますけど。
笠木:鷲尾さんのスケッチブックには、いっぱい描いていらっしゃったようにお見受けしましたが。
鷲尾:みんながすごく集中してやってるのを見て、僕はもう、ものの3分ぐらいで集中力が切れちゃうっていうことに、自分はなんでこんなにできないんだって思いました。とにかく数で稼ごうと思ったんですけど、それもできず…。なぜ、こんな風にできなくなってしまったかっていうと、絵を描くというそのものということよりも、無理やりこの芝生に呼ばれて、ここで絵を描いてくださいっていう、箱庭に入れられたような感覚にどんどんなっていったんです。それで、これはあんまりここの中にいちゃダメだと思って一歩外に出て、すぐ近くにラブリー(※名古屋に古くからあるジャズ喫茶)とかがある、ちょっと古いエリアがあるんですけど、そこにスケッチブックを持って行って絵を描いたらすごい楽しく描けたっていうことを発見できたんです。ある種、外に出るのが大事だなっていうのは、改めて発見しました。
笠木:ありがとうございます。「外に出るのが大事」というのは、(アートやアーティストにとって)象徴的な意味でも、実際的な意味でもとても深い言葉だなと思います。あと、鷲尾さん、この場所に対する思いなども先ほどちょっと語っていただいてましたけど、それについてはいかがでしょう。
鷲尾:もともとテレビ塔がこんな風にいろいろ開発される前は、ここにはもう少し緑がたくさんあったんです。今はそこにテレビ塔の中にホテルがありまして、僕はそこでいくつか絵を描かせてもらって、その時にここに何度も通っていたので、この場所に思い出は確かにあるんですけど、僕自身、今のこの景色をパノラマで見た時に好きじゃないんだっていう風に途中で思ったんです。だから今日は無理やりこの景色を描かなくてもいいのかな、と思ったんです。ちょっと不思議なんですけど(昔の緑の景色を思い出して)感情が揺さぶられたと言いますか、なんかえぐられた感じがして、ちょっと寂しくなっちゃって…。あと、今日は友達たちもたくさん来てるし、人と人とを紹介し合ったりとか、そういうことをしてたらあっという間に時間が経っちゃいました。あと、モリッキー(森北伸)がすごく楽しそうに絵を描いている姿を見て、僕はもう今日はとても満足しています。
笠木:ありがとうございます。横内さんお願いいたします。
横内賢太郎:普段の制作との違いについてですが、自分は普段ってスケッチはしないというか、まず白い紙に描かないんですよね。あと線として使える道具を使って描くというのもあまりしないんですね。地塗りをして自分の欲しいサイズで作ったものに、その素材に合う素材で描くということをやっているので、今回ある種ベーシックともいえる白い紙に鉛筆なり線で描くっていうことをやってみて、制作についての成長の過程をさかのぼるようにやっているように思えました。それが、なんていうか、絵画のはじめの生まれたての状態からやっているような感覚になりました。普段は、自分としてはこれまでの積み重ねから絵画制作を少しできるようになったと思ってやっていたのに、やはり右往左往するというか、苦労するというか、そういう感覚を久々に味わいました。僕が描いたのは街の中で草が生えている緑の場所で、建物とか人は描けないなと思ってそこで取り組んだのですが、定点観測といった感じで3枚描きました。そうやって普段使わない材料と表現で、どうしたら自分なりに描けるかということを、やってみました。
笠木:今、線的な表現でとおっしゃっていただきましたが、横内さんは、今日はインクを使って描いていらっしゃいましたね。葦ペンというのを、私は初めて知ったんですけれども、あのゴッホも使っていらっしゃったということで、作品もゴッホへのオマージュを思わせるようなペンのものやパステルの表現がとても印象的でした。ありがとうございました。
では、山口さんいかがでしたでしょうか。
山口由葉:普段使わない画材を使って描いたので、すごく描きにくかったんですけど、友達とか来てるので描いたものを描けたって見せると「おーいいぞ!」とか言われると、ちょっと気分が良くなって見せる人がいるのいいなって思いました。通常は、見る人の反応を知ることができるのは、作品を展示などで発表した時だけなので、今日のように描いてすぐに人に見せることができて、その反応を知ることができるのはいいなって思いました。
笠木:山口さんは今日はマジックやパステルを自在に使っていらっしゃって、色がとても綺麗だなと思って拝見していました。精力的にどんどん描いていらっしゃったので、絵が出来上がっていくのを見ることができてすごく面白かったです。
吉田:山口さんはOさんの教え子でもいらっしゃいましたが、Oさん、いかがでしたか?
O JUN :今はもう先生じゃないんですけど(笑)学生だった時よりも、ずいぶん繊細なところまで目と手が入り込むようになったなあと思って、感心して見ておりました。素敵な作品ができたと思います。今日は本当におつかれさまでした。また展覧会場で拝見できるのを楽しみにしております。
森北伸:一生懸命描きました(笑)テレビ塔と青い空を一生懸命描きました。
笠木:小池さんのライブ姿も描きこんでいらっしゃいましたね。森北さんは、色んな人をクロッキーされていたのも印象的で、私も描いていただいてうれしかったです。
森北:普段は風景を描くことがほぼなくて、人生のうちでもほぼなかったんですが、それで、最初、準備運動のつもりで人物を描きました。もともと人物は結構よく描いていたので。
笠木:今日お話を聞いていると、皆さんその普段の制作ペースに持っていくまでにそれぞれにいろんな工夫をされていたんですね。鷲尾さんもこの場所から外に出られたとお話いただきましたが、みなさんそれぞれに工夫をされているのが面白いなぁと思いました。
古畑さんはいかがでしょうか、カフェの方もちょっとお忙しかったと思うんですけれども。
古畑大気:はい。今日は普段やっていることをそのままやりました。
吉田:iPadを使って絵を描いていらっしゃいましたね。
笠木:古畑さんが普段iPadで描いていらっしゃるのは存じ上げてたんですけど、どういうふうに描いてらっしゃるのか全然知らなかったので、今日は拝見できて、「なるほど、こんな風に描いていらっしゃるんだ」というのが分かって面白かったです。
O JUN :厨房の中で描いていらっしゃいましたよね。
古畑:はい。
笠木:iPadを使って風景をなぞるような描き方が印象的でしたね。
最後にOさんから締めのお言葉をいただいてもいいですか。
O JUN :アーティストの皆さん、また一般参加の皆さん、今日ちょっと寒空の下だったんですけども、長い時間絵を描いていただき本当にお疲れ様でございました。アーティストの皆さんからは楽しくも深いお話をお伺いできてとてもよかったです。どうか、皆さんお風邪などひかないように気をつけてお帰りください。