クリエイティブ・リンク・ナゴヤ（CLN）が主催する「アートリンク金山」プロジェクトの一環として、2024年に初開催した市民参加型アートプロジェクト「かなやまじんくらぶ」。今後大規模な再開発が予定されている金山の「今」を掘り起こし、未来へとつなぐことを目指し、参加者たちが金山エリアをテーマにZINE（ジン）を制作しました。

今年は前回から若干内容をリニューアルし、ワークショップ形式で開催。全5回の活動を経て、個性豊かな「手づくり壁新聞」と、それらを合体させて冊子形式のZINEが完成しました！

今年のかなやまじんくらぶ：テーマは「まちを巡って手づくり壁新聞をつくろう」

完成した壁新聞の取材先は以下の4カ所です。

• 南側のロータリー近くにあるCDショップ 「濃尾商会」さん
• 金山駅東側にある「JAZZ CLUB Mr.Kenny’s」さん
• 金山駅北側にある神社 「榊森白山社」さん
• 南口広場で定期開催されている「金山にぎわいマルシェ」さん

今回のワークショップでは、ZINE制作経験やデザインスキルは不問。「金山エリアを取材して、まちの魅力を掘り起こしたい」という熱意を持った様々なバックグラウンドを持つ参加者が集まりました。
初日は、豊橋エリアで活動するZINE制作チーム「CHI&ME」さんによる熱量の高いミニZINE講座が行われました。その後、金山総合駅の半径500m範囲を巡るまちあるきへ。熱田台地のへりや、かつて駅があった場所など、普段意識しない金山の歴史と文化を垣間見るコースでした。

まち歩きの様子

５日間の活動中最も盛り上がったのは、取材と原稿作成の活動です。4チームに分かれた参加者は、事前に質問する内容を話し合い、各取材先を訪れました。
取材先の皆さまは、参加者の思いを受け止めて快く様々なエピソードをお話しくださいました。当初の質問から話が膨らみ最終的には人生指南にもつながるチームなど、現場は大いに盛り上がりました。
取材から戻った後の原稿作成では、参加者が取材で得た「金山の物語」をどう表現するか、真剣に、そして楽しそうに議論するなど原稿づくりに熱中する姿が印象的でした。
またリソグラフ印刷特有の「2色刷りのチョイス」にも各チームの個性が光り、ものづくりへこだわりが詰まった原稿に仕上がりました。

これらの原稿は、リソグラフスタジオのwhenpressさんによって、味わい深く鮮やかな仕上がりになりました。
有志のデザインチームが制作した表紙にはゴールドと蛍光ピンクのインクを選び、4色の異なる紙に印刷。リソグラフ印刷特有の「かすれ」や「色ムラ」が、手づくり新聞ならではの温かみと魅力を引き立てています。
活動最終日は、紐でくくるギフトのようなスタイルと、二つ折りの冊子形式という2種類の仕様で製本作業を行い、無事にZINEが完成しました。

金山のまちづくりとZINE

ワークショップ後のアンケートでは、参加者から以下のような声が寄せられました。

「ZINEづくりが楽しかった」

「金山は交通のハブというイメージしかなかったが、それによっていろんな属性の人が交わる交差点になっていることを知った」

「自分の持っているスキルに自信が持てるようになったり、新しい表現方法（リソグラフ）を知ることができた」

金山は、交通のハブとして多くの人が行き交う場所ですが、その分、立ち止まってそのまちの魅力や歴史、そこで営まれている「人」の物語に触れる機会は少ないかもしれません。

ZINEという手づくりで自由な表現媒体を用いることで、参加者は普段気づかないまちのディテールに目を向け、地域の方々と深く交流し、そのストーリーを「自分ごと」として掘り起こし、発信する担い手となります。

今回のZINEは、金山の「今」を切り取った貴重なドキュメントです。開発が進む金山エリアの未来にとって、このまちの多様な魅力を語り継ぐ役割を果たすことを期待しています。これは、アートリンク金山が目指す「文化芸術によるさらなるまちの活性化」や「まちの未来を共に考えるきっかけ」づくりに直結する、大切な一歩です。

さいごに

「JAZZ CLUB Mr.Kenny’s」さんでは店内に壁新聞が掲示されています。

制作したZINEの全データはこちらからご覧いただけます。

改めて、今回のプロジェクトにご協力いただいた皆様に感謝申し上げます。

（文責：クリエイティブ・リンク・ナゴヤ）

※金山エリアのお店の皆さまへ：今回のZINEを置いていただける店舗様を募集しています。（販売なし、掲示・配架のみ）ご希望の方は以下メールあてにご連絡ください。

かなやまじんくらぶ事務局 ｜ pilot★creative-link-nagoya.jp（★⇨@）