【調査研究】名古屋の文化芸術を支える人たち vol.7 平岡櫻子さん | つながるコラム | クリエイティブ・リンク・ナゴヤ

調査研究

インタビュー

2026.1.29

【調査研究】名古屋の文化芸術を支える人たち vol.7 平岡櫻子さん

 

名古屋で鑑賞できる美術、音楽、演劇などの文化芸術に関連し、美術家、演奏家、舞踊家などの表現者や、美術館、文化施設、教育機関の企画者などに関する記事等は数多くありますが、イベントやプロジェクトを支えるマネジメントの担い手の紹介はそれにくらべると多くはありません。本調査では現在、名古屋の重要なプレーヤーとなっている方々の経験談から、文化芸術活動へのヒントを発見していただければと思います。

 


 

第7回 インタビュー: 平岡櫻子さん

撮影:リア制作室

<プロフィール>

東海テレビ放送 事業局事業部所属。早稲田大学社会科学部卒業。2016年に入社し、報道局報道部を経て現職。新規イベントの企画や誘致、展覧会やミュージカルなど担当案件の宣伝、運営に携わる。「名古屋クリスマスマーケット」などの屋外イベントや、コンサート、展覧会などを担当。「BUZZ PIANO」「栗フェスin Nagoya」『千原ジュニアのヘベレケ』トークライブ」などを企画。

 

<職種紹介>

放送局事業部。テレビ局が持つ番組やネットワークを活かし、様々なイベントを企画・運営している。会場手配、宣伝、収支管理、出演者や出展者との調整など、総合的なプロデュース力が求められる。多様なジャンルへの好奇心、誠実なコミュニケーション力、柔軟な対応力に加え、新しい企画を生み出す発想力や地域の文化を育てる視点も重要。

 


 

スポーツ記者志望から、イベントの世界へ

東海テレビに入社したときは、現在のようなイベント事業に関わるとは正直思っていませんでした。大学では社会科学部のメディア系の勉強をしていましたが、もともとスポーツの取材記者になりたくて、スポーツ中継をやっているテレビ局への就職を志望していました。一方で、総合職で色々な仕事ができた方が自分の性に合っている気もしていて、どの部署でもエンタメにつながっていくテレビ局の仕事なら、大変でも楽しく頑張れるかなと思っていました。実際入社すると、最初は報道部でスポーツ担当をさせてもらい、4年目の人事異動で事業部に配属となったのが2019年ですから、今の事業部での仕事はもう7年目になります。東海テレビは子供の頃から愛着のあるテレビ局でした。父が転勤族だったので、生まれは東海地方ではありませんが、小学生の頃から高校までずっと名古屋に住んでいたので、大学に進学して東京で過ごしたのちに、地元に帰る形での就職です。子供の頃にすごく印象に残っているイベントが、実は事業部の先輩方が手掛けていたと知る事もあり、地元への愛着や縁を感じることもあります。

事業部の仕事は大きく分けると、東京など各地でやっている企画の東海地方での開催を担当する場合と、この地方で一から企画を立ち上げて実施するものがあります。事業ジャンルはさまざまで、クラシックコンサートからミュージカル、演劇、飲食イベント、展覧会、スポーツイベントなど幅広いです。

前者の担当するイベントでは、1年以上前から会場を押さえることに始まり、当日の運営まで全体に関わります。この「会場押さえ」ができた時点で、そのコンテンツがこの地方にやってくることが決まります。また、事業ごとに宣伝の打ち方の戦略を練るのも重要な仕事です。客層によって、新聞展開なのか、SNSがメインなのか。また、テレビ局の強みを生かした宣伝もできたらと思っていて、ニュース番組に密着してもらったり、情報番組のスタジオで出演者に生演奏を披露してもらったり。これらはもちろん社内調整に奮闘することになるのですが、どうしたらチケットが一枚でも多く売れるのか、イベントの特性を考えながらトライし、それが“週報”(その週に売れた枚数)として現れたときには、ガッツポーズが出ます。個人的にはやりがいを感じている場面の一つです。

 

好きだから気づける、観客目線の強み

私はもともとミーハーなタイプでもあり、話題のイベントにはジャンルを問わず行くことが学生時代から好きでした。仕事の場面では、イベントに関わる仕事の歴が長い方、また出演者などプロの方々に、「平岡さんはどう思う?」と聞いていただくことが多々あり、元々事業部をイメージせずに入社していたこともあり、異動直後は「私なんかに何がわかるのだろう…」と躊躇があったのですが、途中からは、観客としてイベントに行くのは好きなのだから、そのお客さん目線・素人目線で思ったことも大事な意見になるはず、と自分に言い聞かせ、勇気をもって、率直に思ったことを言うようにしています。

2025年秋に「栗フェス in Nagoya」というイベントを立ち上げたのですが、栗業界のことはわからないことだらけ。ですが、出店社の皆様に色々なお話をお聞きしたり、栗業界に詳しい関係者の方を探して一緒にやってもらえないかと巻き込んだりして二年越しで実現できました。これからも、わからないことは聞いてみようの精神で、色々なジャンルのイベントに挑戦していきたいなと思っています。

 

「栗フェス in Nagoya」の様子

 

街の風物詩になっていくようなイベントを

せっかくこの事業部にいるからには、東海地方の街にエンタメを増やす仕事をしたい!と思っています。現在担当している「名古屋クリスマスマーケット」は、10年以上前に立ち上がった時には、お客さんがなかなか来ず苦戦していたと聞いています。ですが、最近の写真や動画を撮る需要が高まっている流れもあり、コロナ禍の時の数年の中止を経たのち、再開すると以前とはくらべものにならない人数の方々が来てくれるようになりました。コツコツ長年やってきた中で、ちょうど時代にマッチしたのだなと感じています。名古屋のクリスマスと言えばここだよね、と言ってもらえるよう、担当者として尽力していきたいです。そして私もイベント企画をする中で、理想は、このように街の風物詩のようになっていくイベントの立ち上げですが、なかなか一から作ることも、そして継続していくことも難しさを感じながら、試行錯誤の日々です。

 

「名古屋クリスマスマーケット」の様子

 

これまで、私が企画しているイベントの一つが、「BUZZ PIANO(バズピアノ)」というコンサートシリーズです。それこそコロナ禍を経てどんどん広まったと感じているのですが、YouTubeでの「ピアノ動画」が人気を集めているピアニストの皆さんと一緒に作っているコンサートです。プロの素晴らしい演奏を無料で動画で見られる時代ですが、その音を生で聴いてほしい、そしてコンサートというリアルの場だからこそ、複数人でセッションをして、即興演奏をしてみたり、その場でしか生まれない化学反応を楽しんでもらいたいと思っています。以前、同じくSNSで人気を集めていたアーティストの展覧会を担当したときに、多くのお客さんが見に来ているのを見て、SNSとリアルイベントって、普段無料で見られるからわざわざ有料で見に行かないと敵対するようなものではなく、SNSきっかけでリアルでも見たいとなるような相乗効果を生めるものなのだなと思ったのがきっかけの一つでした。

 

「BUZZ PIANO」様子

 

「BUZZ PIANO in summer」チラシ
「BUZZ PIANO 3台生音恊奏会」チラシ

 

テレビ局の事業部なので、番組のイベント化も力を入れていきたいです。2024年に、自局のはしご酒番組『千原ジュニアのヘベレケ』のトークイベントを初開催したのですが、番組のファンの皆さんがイベントに来てくれて、ジュニアさんら番組出演者と一緒に乾杯する場面も。番組の“ノリ”が通じ合っているからこその温かい雰囲気で、盛り上がりました。番組ファンの方がイベントに来てくれて、そのイベントを通じてもっと番組を身近に感じて、好きになってもらえる、そんなイベントをどんどんできたらいいなと思っています。

 

『千原ジュニアのヘベレケ』トークライブ舞台風景

 

写真:平岡櫻子さん提供
*冒頭ポートレイト除く


 

東海テレビ公式サイト

https://www.tokai-tv.com/