アトリコナゴヤ⑨「クロスボーダーなセンスを持った人が活躍するまち、名古屋」 – アーティスト・版画作家 片山浩さん | つながるコラム | クリエイティブ・リンク・ナゴヤ

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インタビュー

2026.2.3

アトリコナゴヤ⑨「クロスボーダーなセンスを持った人が活躍するまち、名古屋」 – アーティスト・版画作家 片山浩さん

昨秋からスタートした「アート・リコメンド・ナゴヤ(アトリコナゴヤ)」は、名古屋をもっと楽しむための文化芸術ガイドです。その道のプロフェッショナルの方々が、当地で開催される様々な公演・展示会などから推しのイベントを、みどころとともにリコメンドします。

 

今回は、アーティスト/版画作家の片山浩さんです。

 

片山 浩 プロフィール

アーティスト、版画作家。1971年大阪府生まれ、愛知県在住。 版画(リトグラフ)や絵画を中心に制作しながら、展覧会やワークショップなどの企画も行う。 2016年よりリトグラフをより考察し新たな展開をするためのアーティストグループ 「LITHOGRAPH:Lighter but Heavier」のメンバーとして、「Stone Letter Project」(兵庫、バルセロナ・スペイン、京都、愛知で開催)の展示などにも携わっている。 主な企画展として「黒へ/黒から」(ファン・デ・ナゴヤ美術展2010/名古屋市民ギャラリー矢田)、「Print for Sale」(ガルリ・ラペ/2017〜)、 「PRINTED MATTER」(名古屋芸術大学Art & Design Center/2024、アートラボあいち/2025)等がある。

 


 

各プロジェクトの詳細については、各主催者のページでご確認ください。

 

私のリコメンド 1

イ・ミンハ個展『柔らかな骨』

会場|愛知県立芸術大学 サテライトギャラリーSA・KURA(東区)

日程|2026年1月24日(土)〜2月15日(日)

Webサイト|愛知県立芸術大学

主催|愛知県立芸術大学

 

【アーティストトーク】

日時 | 2026年2月14日(土)16:00

ゲスト | 金井直(信州大学人文学部教授)

「骨」は「硬い」という印象がありますが、このタイトルでは反対の「柔らかな」という言葉が使われていることが、とても気になりました。イさんのInstagramを拝見すると、作品が膠(にかわ)で作られていることがわかりました。膠は、日本画に使われる岩絵の具を紙に定着させるためのメディウム(媒体)として使われていて、本来はオモテに出てこない存在です。温度や湿度で変化する素材でもあり、膠で作品創りをすることは、イさんが固定された概念から離れようとしているように思え、さらに興味を持ちました。

 

撮影:城戸保

 


 

私のリコメンド 2

①第53回名古屋芸術大学卒業・修了制作展
②第33回名古屋造形大学卒展 第22回大学院修了展
③令和7年度愛知県立芸術大学卒業・修了制作展《木木木(もり)の卒展》

 

会場|①名古屋芸術大学 西キャンパス(北名古屋市)
   ②愛知県美術館ギャラリー(中区)、名古屋造形大学名城公園キャンパス(北区)
   ③愛知県立芸術大学キャンパス(長久手市)、愛知県陶磁美術館(瀬戸市)

日程|①2026年2月14日(土)~2月23日(月祝)
   ②2026年2月17日(火)〜2月23日(月・祝)
   ③2026年2月20日(金)~2月26日(木)

Webサイト|①名古屋芸術大学
      ②名古屋造形大学
      ③愛知県立芸術大学

主催|①名古屋芸術大学
   ②名古屋造形大学
   ③愛知県立芸術大学

1月~2月は大学の卒業制作展の季節です。名古屋学芸大学映像メディア学科の卒展は残念ながらすでに終わっていますが、愛知県にある3つの芸術大学の卒展は2月後半に集中し、時期も重なっています。3校それぞれの個性をぜひハシゴして見比べてほしいです。キャンパスの立地や建物などの環境の違いが、作品に影響を与えていると思います。
また、学内展示は、学生たちが展示空間を手作りしているので、そういった過程も想像して見ると面白いです。学内で展示するということは、作品を移動させなくてもいいということです。トラックに載せて運ぶことを考えていない巨大な作品や、「え?ここに展示するの?」という面白い場所を見つけてくる学生もいますので、集大成として見ていただきたいです。

 

  

 


 

私のリコメンド 3

運河の森

会場|運河の森ギャラリー、運河の森スタジオ、PALET.NU(中川区)

日程|2026年1月17日(土)~2月8日(日)

Webサイト|運河の森

主催|運河の森準備委員会、リミコライン・アートプロジェクト、濃尾平野を歩く会、N-mark、一般社団法人おどり場

中川運河を舞台にしたプロジェクトで、いろいろなジャンルのアーティストが参加しています。名古屋駅から一駅しか離れていないのに、その喧騒とは雰囲気が違い、とても静かなのでまちを散策しながら楽しめます。私も2月1日(日)にワークショップを実施しました。石版印刷のことなどをおしゃべりしながら、アルミホイルとチョコレートとコーラという、キッチンにあるような素材でリトグラフを作りました。そのようなギャラリーにはおさまらないワークショップが他にもいくつかあり、アートの幅広さを感じることができるプロジェクトです。

 

 


 

私のリコメンド 4

「港まちAIRエクスチェンジ2025:コタキナバル → 名古屋」成果展

会場|スーパーギャラリー(港区)

日程|2026年1月6日(火)~2月7日(土)

Webサイト|アッセンブリッジ・ナゴヤ

主催|アッセンブリッジ・ナゴヤ

マレーシアを拠点に活動している、パンクロック・スゥラップのメンバーが、名古屋港のアッセンブリッジ・ナゴヤのアーティスト・イン・レジデンス(AIR・滞在制作)を行った成果展です。
日本での版画制作は、「静かに彫って刷る」というシリアスなイメージを持ちますが、彼らの制作過程はとても賑やかです。インクを載せて刷る際には、紙の上でダンスをしながら写し取ったりしています。マレーシアではまだ、社会的メッセージを発信する時には、版画で刷られたものの方が影響力が大きいようで、彼らの作品自体も社会的なメッセージを持っていてシリアスなんですが、制作過程はワイワイとしていて、そのギャップがとても魅力的です。

 

 


 

私のリコメンド 5

「あおのとき」玉井裕子 木版画展

会場|ガルリ ラぺ(昭和区)

日程|2026年2月6日(金)~2月17日(火)

Webサイト|ガルリ ラペ

主催|ガルリ ラぺ

版画には、油性インクで刷る方法と水性インクで刷る方法がありますが、玉井さんは水性インク(水彩絵具)で作品を創っています。これは浮世絵と同じ技法でしっとりした刷り上がりになりますが、紙の質、湿度、バレンの圧力などが刷り上がりを左右し、コントロールが難しい技法です。パンクロック・スゥラップの制作方法とはまた違っていて、こちらも見比べてみると版画の幅の広さを感じられると思います。
また、玉井さんは芸術大学や美術大学出身ではなく、社会人向けの美術講座に通うなかで10年ほど前に版画制作を始めた方です。玉井さんが日常の生活を送るなかで作品を創り始めたことも興味深く、これからの活動も楽しみにしています。

 

 

 


 

ナゴヤにコメント

名古屋は良い意味でジャンルの境目が薄いのが面白いと感じています。私は版画(石版画)をやっていますが、絵も描きます。そういうことも許容される雰囲気があります。逆に、一つのジャンルだけに縛られ続けている人が少ないのではないかとも思います。

クロスボーダーなセンスを持った人が何十年も前から活動している。そういった幅の広さ、動きやすさがある。それが名古屋のアートシーンの面白いところだと思います。