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インタビュー
音楽
2023.10.30
【インタビュー】「Meets Classical」ON music project 北川明孝さん(JAPAN LIVE YELL project IN CHUBU)
公演情報
「Meets Classical」
日時:2023年11月7日(火)19時演奏スタート(20時30分終了予定)
会場:名古屋市美術館
チケット料金:500円
music:岩間美奈(マリンバ)、谷口沙和(ヴァイオリン)、細川杏子(フルート)、弓立翔哉(パーカッション)
direction:北川明孝 ON music project
チケット予約ページ:https://torioki.confetti-web.com/form/2413(別ウィンドウが開きます)
*事前予約は前日まで、当日券もあり
クリエイティブ・リンク・ナゴヤは、名古屋を主な拠点として活動を行う文化芸術の実演団体、アーティスト、制作者等のマネジメント力向上をめざす目的で「公演・ワークショップ」の企画を公募し、3件採択しました。本イベントはそのうちの第1弾として、名古屋で音楽コンサートを数多くプロデュースしている「ON music project」と協働し開催いたします。
この度、ON music projectを主宰する北川明孝さんにインタビューを行いました。
―――“回遊式コンサート”と銘打った今回の企画作りのきっかけを教えてください。
北川 私は大学在学時にオーケストラに所属し、チェロを演奏していました。私自身は趣味の演奏で音楽家ではありませんが、2010年から「ON music project」としてクラシックコンサートを中心に年間100回以上の公演やイベントを企画しています。
一方で、社会と音楽家との「接点」に立てればという思いから、港地区でのまちづくりイベントに参加したり、中川運河沿いの活性化のためにクルーズ船内での演奏会を企画しています。
そして今回は名古屋市美術館を利用できる企画案の募集ということで、音楽の演奏や音楽家のプロフィールを「展示」のようにしてみたいと考えました。私自身が美術館という場所が好きなので、そこで自由に動き回りながら音楽を聴けたらいいだろうなと。
―――具体的には、どのようなイメージですか?
北川 名古屋市美術館の地下1階と地上2階の4カ所で、4人の音楽家がマリンバ、ヴァイオリン、フルート、パーカッションをそれぞれ演奏します。1つのスポットに対して4つの「感情」をテーマとして設定し、曲目や演奏に反映してもらいます。途中で2人ずつが合流するアンサンブルもある予定です。
来場者は19時の演奏スタートから20時半の終了時間までの間、いつ来てもいいし、いつ出ていっても構いません。来館したら館内を自由に歩き回ってください。美術館で芸術を鑑賞するのって、本来そういうものですよね。
でも音楽、特にクラシックのコンサートは敷居が高いと思われることが多いようで、決まった時間に決まった席で、微動だにせず聴く(笑)ものだと思われています。その敷居を下げて、歩き回りながら音楽を聴き、その場で感想を語り合ってもいい。美術館という場所の力を借りて、通常のコンサートとは違う体験を提供したいと考えています。
―――参加する音楽家はどのように選んだのですか?
北川 演奏に対するこだわりはそれぞれですが、こうした企画を楽しみたい、面白いことをしたいと思ってくれる4人です。今回はその4人の音楽家にインタビューした映像やプロフィール読み砕きのパネル展示、そしてプロフィールから切り取った人生のストーリーも公開します。
私自身、コンサートを企画するときにその音楽家がどういう人物なのか、どういう個性があるのかなどを聴き取る機会があります。それを企画に落とし込んでいくのですが、お客さんには意外にそういう部分が伝わっていない、そこが伝わるともっとコンサートの魅力が膨らむのにと思っていました。
音楽家のプロフィールというのも、実は一般の人が読んでもよく分からないものです。こういう楽器をやっていて、こういう賞を取りましたと通り一遍に書いてあるのですが、ではなぜその楽器を始めたのかとか、このコンクールへの思い入れは何かとか、それぞれ突っ込んで聞いてみると魅力的なエピソードがいっぱい出てくるんです。
今回は出演する音楽家のプロフィールに“赤ペン”を入れて補足したプロフィール読み砕きや、自身もピアニストである鵜殿里菜さんが描いてくださった各音楽家のストーリー、そして直接私自身がそれぞれにインタビューした映像を用意します。音楽家の人物像を多面的に伝える「立体的なポートフォリオ」としてお客さんに見ていただくと同時に、音楽家にとってもプロフィールでの“過去の自分”が、これからの“未来の自分”にどう生かされるのかを知る機会になると思います。
―――名古屋でこうしたイベントが開かれるのは画期的ですよね。どんな人に来てもらいたいですか?
北川 私が企画をする上で意識しているのは、音楽家の「本分」は守りながら、見せ方やロケーションなどの環境を変えて、お客さんとの接点を増やすこと。それを通してこんな音楽家がいて、こんなことができるんだと社会に認知され、結果的に今までと違う若い人や他分野の人に興味を持ってもらえればいい。美術館やギャラリーであれば、興味のある無しに関わらず普通に老若男女が気軽に誘い合って赴こうとするイメージがあります。そういうことがクラシックのコンサートでも、もっともっと増えてもいいと思うんです。
特に名古屋は「お稽古ごと」の文化は盛んですが、コンサートを気軽に開くのはまだ難しい土地柄。オーケストラ以外の音楽家の集まりによる発信が弱いところに課題があると感じています。
―――今回、「マネジメント講座」も受講されましたがいかがでしたか?
北川 私自身が講座を受けて、音楽をやる人も知っておいてほしいことばかりだなと思いました。個々の音楽家はなかなか忙しく俯瞰的に物事を見たり、他分野と連携したりすることまで考えられないことも多いかもしれません。私は音楽家ではない外側の人間としてそういう見方や連携を意識してきて、今回のマネジメント講座ではまさにそういうことが必要だと教えられたので、自分に自信が持てました(笑)。もっといろんな人が受講できるようにしてもらえたらいいと思います。
本事業名:JAPAN LIVE YELL project in CHUBU
本事業主催:クリエイティブ・リンク・ナゴヤ、ON music project、愛知芸術劇場、公益社団法人日本芸能実演家団体協議会
本事業助成:文化庁文化芸術振興費補助金(統括団体による文化芸術需要回復・地域活性化事業(アートキャラバン2))|独立行政法人日本芸術文化振興会
事業名:JAPAN LIVE YELL project