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2023.11.24
【インタビュー】「オイスターズが揚輝荘でつくる演劇公演」演出家・平塚直隆さん(JAPAN LIVE YELL project IN CHUBU)
公演情報
「オイスターズが揚輝荘でつくる演劇公演」
日時:2023年12月23日(土) 、24日(日)
各17:30 開場 18:00開演 *公演時間:約30分
会場:揚輝荘 聴松閣(名古屋市千種区法王町2-5-17)
出演者:オイスターズ
チケット料金:1,000円(税込)
チケット予約ページ:https://torioki.confetti-web.com/form/2487(別ウィンドウが開きます)
※オンライン事前予約制 *当日現金のみでのご精算
事前予約は12月21日(木)23:59まで。当日券の有無は予約締切後の残席数を鑑み、22日(金)に本ウェブサイトでお知らせいたします。
クリエイティブ・リンク・ナゴヤは、名古屋を主な拠点として活動を行う文化芸術の実演団体、アーティスト、制作者等のマネジメント力向上をめざす目的で「公演・ワークショップ」の企画を公募し、3件採択しました。本イベントはそのうちの第2弾として、名古屋を中心に数多くの公演を行う劇団「オイスターズ」と協働し開催いたします。
この度、「オイスターズ」演出家の平塚直隆さんにインタビューを行いました。
―――今回の会場である「揚輝荘」は、松坂屋の初代社長が別荘として建てた和洋折衷の建物です。名古屋市内でも特にユニークなこの建物での演劇公演にあたって、どのような心境でしょうか。
今回の舞台は劇場を離れての特別な場所です。日程も2日間のみで、2回しか公演をやりません。この日、この場所だけでの特別な機会です。揚輝荘で公演をやると決まってから、揚輝荘ならではの作品をイメージして脚本を書いています。
僕にとっても今回の機会は特別ですが、訪れるお客さんにとっても特別なものになると思います。揚輝荘で演劇を見る機会はめったにないですから。演劇に関心のない方々にもたくさん来て頂きたくて、料金を1000円に設定しました。公演日も土日なので、観に来やすいのではないでしょうか。
現在の段階(開催予定を告知している段階)では、きっかけを生みたいと思っています。よく知らない建物である揚輝荘に来るきっかけ、演劇を観るために出かけるきっかけ。そして当日、実際に訪れて、揚輝荘を知るきっかけ、演劇を知るきっかけにつながっていってほしいです。
―――当日に披露するのは、どのような演劇なのでしょうか。
今回の公演は揚輝荘という場所の“引き”が強い。だから、上演する作品も特別に揚輝荘に合わせた書き下ろし作品になります。
舞台とするのは1階の喫茶室兼休憩室(旧食堂)と地下1階の多目的室(旧舞踏場)。その2か所で演劇を同時進行させ、俳優が両方を行き来します。しかし、客席は室内にそれぞれ設けられていて、観客は移動できません。1階か地下1階のどちらかでしか演劇を観られないのです。だから俳優が本当に2か所を行き来しているのかも、観客にはわかりません。想像力を膨らませながら、別の場所では何が起きているのだろうかと楽しんでください。
普段からテーマを考えていないので、内容はいまのところ、決まっていないようで決まっている部分もあるし、決まっているようで決まっていない部分もあります。これからどんどん変わっていくので、当日までわからないかもしれません。
―――そういう状況の中でも、お客さんに楽しんでほしいポイントというのはありますか。
僕の書くセリフの行間には、言語化できない笑いを詰め込んでいます。そこを楽しんでほしいです。
―――言語化できない笑いというのは?
僕はビートたけしが好きで、笑いの理想形だと思ってるんですけど、特に印象的なコントで、エレベーターを待っているたけしがいざ乗り込もうとするも、中はヤクザ風の男たちで満員。しぶしぶ次の機会を待つが、再びやってきたエレベーターはまたもヤクザ風の男たちで満員。さらにその次もヤクザ風の男たちばかりだが、今度は全員エレベーターを降りる。たけしがすかさず乗り込むと、中には包丁で背中を刺された男が一人もたれかかっている。
たけしが最終的にエレベーターに乗ったのか降りたのか、結果は示されません。不条理な状況で彼がどんな行動を選んだのかは観る者の想像に委ねられ、何とも表現しがたい笑いを誘います。このユーモアが、僕の中ではピッタリきます。
―――オイスターズの舞台は「過剰なまでに会話劇」というテーマを掲げていますね。
できる限り会話のみで表現する試みをしています。シンプルな舞台美術の中で、身体的な情報を最大限排除した演技スタイルにより、すべての表現を会話に特化させるのが狙いです。
日常生活を送る中で、当たり前のこととしてスルーしていくような言い回しってありますよね。そこを立ち止まって言葉に執着すると、言葉がもつあいまいさや思い込みによるすれ違いが生じ、そこから笑いが生まれます。
そうしたことを意識して、演劇を通じてお客さんを笑わせたい。本番に向けて準備している段階で、笑っているお客さんが思い浮かんできます。いざ本番を迎え、こちらが意図した通りにお客さんがクスクス笑っていると、その状況がうれしくてたまらないですね。
―――当日に向けての意気込みなどをお願いします。
12月から今回の公演の稽古が始まります。公演はオイスターズの劇団員に加え、フリーの俳優さんや、普段は別の劇団に所属している方たちも参加します。
オイスターズが本公演で行っている上演時間は1時間40分ほどですが、今回は30分前後。それだけに内容が凝縮されています。
私たちが提供する演劇に、当日来てくれたお客さんの熱気や笑いが加わって会場での一体感をみんなで共有できたときに公演は完成します。みんなで演劇を完成品へと創り上げていく特別な楽しさを、ぜひ体感しにきてください。
本事業名:JAPAN LIVE YELL project in CHUBU
本事業主催:クリエイティブ・リンク・ナゴヤ、オイスターズ、愛知県芸術劇場、公益社団法人日本芸能実演家団体協議会
助成:文化庁文化芸術振興費補助金(統括団体による文化芸術需要回復・地域活性化事業(アートキャラバン2)│独立行政法人日本芸術文化振興会
事業名:JAPAN LIVE YELL project