アトリコナゴヤ番外編①「”Think Globally, Act Locally”の担い手たちと、名古屋をワクワクする街に」 – 佐藤友美(クリエイティブ・リンク・ナゴヤ ディレクター) | つながるコラム | クリエイティブ・リンク・ナゴヤ

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2025.10.2

アトリコナゴヤ番外編①「”Think Globally, Act Locally”の担い手たちと、名古屋をワクワクする街に」 – 佐藤友美(クリエイティブ・リンク・ナゴヤ ディレクター)

クリエイティブ・リンク・ナゴヤがこの度スタートする特集記事「アート・リコメンド・ナゴヤ(アトリコナゴヤ)」は、名古屋をもっと楽しむための文化芸術ガイドです。芸術の秋、「国際芸術祭あいち2025」も開催される本年は、名古屋でもさまざまなアートイベントがめじろおし!その中で何を観に行こうか迷っているあなたに、その道のプロフェッショナルの方々が、美術・音楽・舞台などから推しのイベントをリコメンドします。

 

今回は、クリエイティブ・リンク・ナゴヤのディレクター佐藤による番外編です。

 

 

佐藤友美 プロフィール

中日新聞名古屋本社事業局で、美術展を中心とする文化事業の企画運営や、文化団体や市⺠団体などとの連携事業に携わる。その後トヨタ自動車株式会社で社会貢献活動やCSR活動に従事し、トヨタ博物館副館⻑やトヨタボランティアセンター⻑などを務める。2023年1月から現職、2024年4月から名古屋市文化芸術推進評議会委員。博士(教育学)。近著に『地域資源としての企業博物館』(晃洋書房)。

 


 

クリエイティブ・リンク・ナゴヤのミッションのひとつが「文化芸術と他分野の連携」。私からは今年の助成採択事業からこの秋に実施されるまちづくりや福祉などと連携した意欲的なプロジェクトをリコメンドします。また、キャリアアップ助成に採択された若手アーティストの活動もあわせてご紹介します。

各プロジェクトの詳細、チケットの購入等については、各主催者のページでご確認ください。

 

社会連携活動助成編 私のリコメンド 1

Let It Green !

会場|円頓寺商店街(西区)、オアシス21(東区)、ヒサヤオオドオリパーク(中区)ほか

日程|10月4日(土)~26日(日)の土日の8日間

Webサイト|Let It Green! 

主催|Communis

建築家を中心としたコレクティブによる「都市の緑を考える」をキーワードにしたアートプロジェクト。二度目の採択ですが、昨年が「Plant It Green!」、今年が「Let It Green !」と音楽好きならニヤリとしてしまうネーミングのセンスも光ります。「樹冠被覆率」というこれまた一般には聞きなれない言葉を持ち出しつつ、「旅する木陰」「Coかげぼうし」という魅力的な名前と姿かたちのグリーン・キャラバンが名古屋のまちなかに出現します。この夏、信じられないような酷暑が続き、気候変動への対応は待ったなしであると誰もが感じていると思いますが、このような社会課題をアートの力を借りて自然なかたちで皆の心にすとんと落としていく技が、憎いくらいにうまいです。ぜひ、お近くに旅する木陰にくつろぎにいってください。

 

「旅する木陰」ベースキャンプ(円頓寺商店街内)

 

関連記事
つながるコラム「2025年度助成採択事業紹介① Communis「Let It Green!」」
 

 


 

私のリコメンド 2

なごや裏山芸術祭2025

会場|西山商店街界隈(名東区)から星ヶ丘界隈(千種区)

日程|11月1日(土)~23日(月・祝)の土日祝日の10日間

Instagram|@urayama.artfes 

主催|なごや裏山芸術祭2025実行委員会

名古屋に表山、東山、覚王山、南山など、山がついた地名は数あれど、「裏山」なんてあったっけ???と思っていたら、「西山」近辺に住んだり活動したりしている建築家・アーティストたちがユーモアと誇りを持って自分たちの地域を盛り上げようというプロジェクトでした。たしかに動植物園がある東山近辺に比べると落ち着いた住宅街の印象ではありますが、日常の生活圏にアートや音楽などの非日常を持ち込み交流人口を呼び込もうという若いメンバーの熱意がまちの人たちにも伝播して、現在、エリアも星ヶ丘まで拡大しています。申請時の企画がどんどん成長して仲間が増え、楽しそうに実現に向かっていく様を見ていられるのは、中間支援の役得です。実は私も自転車でいけるくらいの場所に住んでいますので、何度も行って楽しみたいです。

 

西山商店街

 


 

私のリコメンド 3

METAMORPHOSIS Ⅲ WHERE CRANES DANCE

会場|鶴舞公園 奏楽堂(昭和区)ほか

日程|11月9日(日) *雨天の場合は11月16日(日)

Webサイト|Mas Nagoya

主催|Mas Nagoya実行委員会

三度目の採択で鶴舞をテーマにしたパレードの完結編です。昨年まではアーティストのマーロン・グリフィスさんによる申請でしたが、今年は実行委員会で大規模枠でのプロジェクトになりました。鶴は長寿と回復力の象徴であり「鶴が舞う場所」が多様な人々が暮らす場所でありつづけてほしいという想い、パレードのビジュアルとパフォーマンスとして質の高さ、そして誰もが参加できる場があるのがこの活動の原動力です。年ごとに協力者が増え、エリアも拡大し、10月からは子どもも大人も参加できるマスキャンプ(衣装づくり)などワークショップやトークが複数回行われ、パレードに向けて地域一帯で機運をもりあげます。お時間がある方はぜひ事前のイベントとパレードに参加を、そうでない方も当日一緒に歩いて、鶴舞の過去と未来に思いをはせてください。

 

2024年の様子

 


 

私のリコメンド 4

多様性を包括する市民参加型クリエイティブワークショップ!⇄!(インターチェンジ)

会場|金城市場(北区)

日程|11月28日(金)~29日(土)

Webサイト|@inter._.change

主催|株式会社SAFEID

本特集第3回の安野太郎さんにも既にリコメンドしていただいていますが(こちらの記事)、障がいの有無にかかわらず、多様な市民とアーティストが共創するプロジェクトで、ライブ、展示、ワークショップなど盛りだくさんの内容。障がいのある方の余暇の過ごし方の幅を広げていきたいというSAFEID代表の加藤さんの想いにアーティスト、ミュージシャン、福祉関係者などが共鳴し、今年2回目の開催となります。レトロ感あふれる金城市場は、今もどんな人もおおらかに受け入れる「市場」として良い意味での雑多な雰囲気を持ち、今回の企画の趣旨にもぴったりマッチします。今、名古屋市内でも勢いのあるオルタナティブ・スペースでさまざまな表現と鑑賞のありかたを体験してみてください。

 

前回の様子(1)

前回の様子(2)

 

 


キャリアアップ支援助成編

クリエイティブ・リンク・ナゴヤの若手アーティスト支援(記録集やポートフォリオ制作に対する助成)の採択者が関わる、今秋名古屋近隣で行われる公演をご紹介します。

 

喜劇のヒロイン(演劇)】
文化の家野外劇場vol.2 宵祭『KONTON』
主催|長久手市 長久手市教育委員会
会場|石作神社(長久手市)
日程|10月18日(土)

袴田美帆(サクソフォン奏者)】
0歳児から聴くコンサート
主催|フォーラム21 少年少女合唱団
会場|きそがわ幼稚園(一宮市)
日程|11月16日(日)

浅野聡太(和太鼓奏者)】
和楽器ファミリーコンサート
主催|愛知学院大学 和太鼓部 AGU丸座
会場|愛知学院大学 日進キャンパス 学院会館(日進市)
日程|11月30日(日) 

 


 

ナゴヤにコメント

クリエイティブ・リンク・ナゴヤの社会連携助成も今年で4年目を迎えましたが、2022年の初回から充実した活動を支援できており、年々申請数が増え、レベルもあがってきています。2024年にCLNが名古屋の文化芸術関係者対象に実施したアンケート調査(詳細はこちら)からも、他分野と連携した事業の経験の有無について、「ある」との回答は44%、「ない」が「やってみたいと思う」という回答は41%、あわせて85%で関心が高いことがうかがえます。
今回ご紹介したプロジェクトは多くが採択者自身の問題意識から出発して、それを現在の日本や世界の社会動向や環境に関する課題としてとらえ、地域に根付いた実際の取り組みにより普遍的な知見として世に問うていくものです。まさに「Think Globally, Act Locally」を実践する名古屋の担い手たち。ワークショップ体験や鑑賞だけでなく、ボランティアやクラウド・ファンディングなど積極的に参加できる方法もあります。ぜひ気軽に出かけていただき、アーティストたちと出会い、できればご自身も関わって、名古屋をもっと楽しく、ワクワクする場所として再発見してください。