全3回:アーティストのためのデジタルマーケティング入門講座 実施レポート(第1回) | つながるコラム | クリエイティブ・リンク・ナゴヤ

活動レポート

2023.9.6

全3回:アーティストのためのデジタルマーケティング入門講座 実施レポート(第1回)

クリエイティブ・リンク・ナゴヤでは、アーティスト・文化芸術関係者向けデジタルマーケティング講座「アーティストのためのデジタルマーケティング入門」(全3回)を開催しました。

 

本講座は、現代におけるデジタルマーケティングの潮流や事例紹介を通じ、アーティストの皆さんに戦略的な活動継続のための自走力を獲得していただくことを目的としたものです。開催にあたっては、2023年度クリエイティブ・リンク・ナゴヤ助成事業実施者のうち、デジタル広報に取り組む予定の助成Dの方々を主な参加対象としましたが、その他の助成枠の事業実施者、ならびに一般からも多くの参加者がありました。

 

この記事では、講座の第1回目の実施レポートをお届けします。
*第2回目・第3回目レポートは本記事末尾のリンクからご覧いただけます。

 

【開催概要】
アーティストのためのデジタルマーケティング入門

第1回「デジタルマーケティング概論」:2023年7月23日(日)10:00-11:30
講師:齋藤学(クリエイティブ・リンク・ナゴヤ コーディネーター)

 


 

第1回 7月23日(日)

当日のスライド資料より

 

第1回目となる今回は、「マーケティングの全体像」を頭で描けるようになることを目標に、アーティスト自身がマーケティングの基本的な仕組みを理解し、その重要性を学ぶためのコンテンツが用意されました。ここでの学びを踏まえて、続く第2回目・第3回目の講座では、実際にデジタル広告を作成し、プロの講師からフィードバックをもらいます。

 

齋藤講師による説明

 

まず講座の前半では、基本的なマーケティングの仕組みについて、齋藤講師がスライドを使いながら説明しました。

 

齋藤講師によると、マーケティング分野は細分化と専門化が進んでおり、全体像を易しく提示する講座や専門書は少ないといいます。まずはマーケティングに対する考え方や、マーケティングの世界をめぐる現況などが紹介されました。

 

当日の資料より

 

マーケティングの具体的なツールや用語の説明の後は、「認知獲得」から「顧客育成」、最終的に「受注」へと至るマーケティングの基本的なプロセスの解説へと話が移ります。ここでは架空の業者を例にとり、ある商品がなぜ売れないのかについて、マーケティングのプロセスごとの検証の方法を考えました。

 

マーケティングの観点では、ある商品が売れない時は、「売り上げを出す」という最終目標から一つずつフローをさかのぼり、プロセスの点検をすることが求められます。そしてプロセスに問題がない場合にのみ「商品自体に問題がある」と考えます。

 

しかし、これが芸術に関してだとどうでしょうか。

芸術は収益を生み出しづらい、と言われることもありますが、齋藤講師いわく、それは上記のようなマーケティングのプロセスを踏まえると、「売り上げが立たない」即ち「芸術自体に問題がある」と短絡するのと同じだといいます。

 

アート活動においても、うまく集客や売り上げが立たない時に、作品やイベント自体に問題があると考えるのは少々早とちりで、まずは「認知獲得」や「顧客育成」のプロセスが適切になされているかについて点検し、きちんと戦略的に考える必要があるのではないか、と齋藤講師は提言しました。 

 

その後、ここまで説明したマーケティングフローを実行するための例として、デジタルマーケティングの最新テクノロジーについて、無料のものから有料のものまで複数紹介され、講座の前半は終了しました。

 

会場の様子

 

続いて講座後半では、今度はマーケティングの戦略へと話題が展開します。まず、参加者に実際にマーケティングフローを体験してもらうためのワークショップが行われました。

 

参加者は二人一組となって、インタビュアーとインタビュイーにそれぞれ分かれます。そして、お題で提示されたある商品をめぐり、なぜ相手がそれを欲しているのかというニーズ分析を「半構造化インタビュー」の手法を通して体験します。

 

ワークショップの様子

 

参加者の皆さんは、時折苦戦しながらも、ペアの相手との対話を通してニーズ分析を着実に進めていました。

 

そしてワークショップを踏まえ、ニーズ分析を行ううえで有用な、ペルソナ設定やカスタマージャーニーマップの作成といった、具体的な方法例が紹介されました。

 

なかでも、現代社会でもっとも身近な広告ツールのひとつとなりつつあるSNSについては、各SNSによってメインとなるユーザー層や年齢層が違うといいます。ここでは齋藤講師の用意した資料を参照しながら、SNSごとの差異を確認し、アーティスト自身の目的に応じて、それぞれのマーケティング戦略に適したSNSを使う必要があることを学びました。

 

会場の様子

 

講座の最後には、冒頭で説明されたマーケティングの全体像へと立ち返りながら、今日学んできたマーケティングのプロセスのおさらいと、アーティストによる戦略的なマーケティング実施の重要性を確認し、第1回目は終了となりました。

 

続く第2回目の講座では、今回最後に触れたSNSツールを集中的に取り上げ、最新のデジタルマーケティングの手法をプロの講師に学びながら、実際の広告の打ち方を学んでいきます。

 

※第2回目・第3回目の講座レポートはこちら