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2024.10.17
採択事業者インタビュー③ マーロン・グリフィス「Metamorphosis II — YEAR OF THE ROOSTER —」
マーロン・グリフィスさん 鶴舞の自宅アトリエにて
クリエイティブ・リンク・ナゴヤでは昨年に続き2024年度も助成事業を実施いたします。そこで「社会連携活動助成」で採択された事業(助成A×5件、助成B×1件)を6回にわたってご紹介します。
社会連携活動助成A・Bの詳細はこちらをご覧ください。
第3回はマーロン・グリフィスさんにお話を伺いました。
■ 事業名 Metamorphosis II — YEAR OF THE ROOSTER —
昨年度採択の第1弾に続き3部作の第2弾として「鶴舞公園の戦争と記憶」をテーマにし、人々の記憶に残る戦中・戦後の公園の様子を丹念に聞き取り、独創性あるパレードを作り上げる。
詳細については下記URLからご確認ください:
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マーロン・グリフィス 鶴舞公園パレード 参加申し込みフォームはこちら(Googleフォームが開きます・ログイン不要)
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マスキャンプ(事前のワークショップ 予約不要) 10月31日(木)~11月15日(金) ※水曜休み 9:00~20:00 場所:レンタルスペースroca
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鶴トーク(当時の公園を知る方を招いたお話会 予約不要) 11月4日(月・祝)13:30~16:00 場所:レンタルスペースroca
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太鼓づくりワークショップ(パレードで使用する太鼓を作り、当日奏でるリズムを考えます 定員10人) 11月10日(日) 10:00-11:00 太鼓づくり 、11月12日(火) 17:00-18:00 演奏体験・リズム作り、11月14日(木) 17:00ー18:00 リズム作り・練習 場所:レンタルスペースroca
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公式Instagramアカウント:@mas_nagoya
■ 採択区分 社会連携活動助成A(継続)
■ 採択金額 ¥1,000,000
■ 実施者名 マーロン・グリフィス(Mas Nagoya 実行委員会)
■ 活動領域 美術
■ 連携先の分野 まちづくり、国際交流、福祉、教育
■ 期日 2024年11月16日(土)(雨の場合、翌17日(日)に順延)
■ 会場 鶴舞公園
【実施者プロフィール】
1976 年トリニダード・トバゴ生まれ。名古屋を拠点とする現代美術アーティスト。母国の伝統的なカーニバルを土台に、地域の人々と協働し、その地域の歴史や文化をテーマにしたパレード作品を発表。制作過程で生まれる参加者同士の対話や体験の共有を重視し、アートを通じコミュニティ内に新たなつながりを生み出す。2024年Nuit Blanche(フランス)、2015 年ヨーク大アートギャラリー(カナダ)、2014 年テートモダン(イギリス)、2013年あいちトリエナーレ(日本)。
―――今回の事業がどのようなものかお教えください。
マーロン 今回のプロジェクトは昨年に引き続き鶴舞公園でパレードを行います。パレードに参加するには事前のワークショップであるマスキャンプに参加する必要がありますが、鶴舞の住民に限定することなく、希望する人は誰でも来ることができます。また、パレードに振り付けは無く、それぞれのやり方で自分を表現すればよいものになります。
ちなみにパレードという言葉にはフェスティバルの意味が込められてしまうのですが、トリニダードの伝統ではセレモニーの一種であるカーニバルに由来するものであるため「Procession(行進)」という語彙を使います。なぜなら先祖を敬い、その歴史が今に繋がっていることを実感するためのものだからです。
今年はさらにバケツから作る太鼓のワークショップや、パレードに来てくれた方々の交流のために鶴舞公園内の奏楽堂でマルシェも催します。
今回のプロジェクトではテーマとして戦争を取り上げ、当時の人々の思い出や経験をたどります。そのために地元の人々にインタビューをし、戦時中の文献を集めて調査したうえで、戦争を経験された方々に当時の思い出を語っていただく「鶴トーク」というワークショップも行います。
鶴舞公園奏楽堂 パレード当日は地元の方々の協力でマルシェが催される
―――昨年度にMetamorphosis I —Where Water Flows— を実施していかがでしたか。
プロジェクトの第1弾では「Where Water Flows(水が流れるところ)」と題し鶴舞という土地をテーマにしました。鶴舞公園は当初は市民の憩いの場として設置され公会堂も建てられましたが、その後の歴史の流れの中で、さまざまな機能を担うようになりました。もともと鶴舞公園は御器所の一部であり、また分園として吹上公園を持つなど周辺のエリアともつながっていて、そこに住む人々にとっても鶴舞公園は特別な意味を持つ場所でした。鶴舞の歴史調査を続けていくうちに、これでプロジェクトを終わらせてしまうのではなく、あと2回は続けて鶴舞の物語を表現したいと思いました。そこで、第1弾を「Celebratory(祝い、祝賀)」なものと位置付けました。
昨年のパレードの様子 ©MAS NAGOYA
―――今回の事業( Metamorphosis Ⅱ— YEAR OF THE ROOSTER —)には、どのような思いが込められていますか。
何事を語るにも、善い面も悪い面もバランスよく知る必要があります。プロジェクトの第1弾が終わって戦争というものが鶴舞の人々だけでなく名古屋市民の過酷な歴史の一部であることを知りました。鶴舞公園は当時娯楽の場となっていただけでなく、複数の機能をもつ地域社会の公共空間でした。例えば戦時中は食物などを栽培する場所でしたし、また爆撃から身を守るための避難所でもありました。戦後は進駐軍が占拠し出入りに制限がかかりましたが、例えば公園の裏にある高射砲のあたりで子どもが遊んでいたり、アメリカの独立記念日の日だけ、普段は閉まっているゲートが開き、ホットドッグが配られたりしたそうです。一方で鉄格子から手を差し出して、チョコレートをもらった記憶のある方もいました。鶴舞の人々には子どもの純粋な目線での記憶が80年経った今でも残っています。
そのようなわけで、戦争で大変な目にあいながらも、日常生活のなかのちょっとした思い出が鶴舞の人々の心にあって、今回のプロジェクトではそのような記憶や経験を土台とします。サブタイトルのYEAR OF THE ROOSTERですが、1945年は8月に原爆が投下されて、名古屋では3月に大空襲があった年が酉年だったことに着想を得ています。私にとって動物が年を表すこと自体も興味深いです。
マーロンさんのプロジェクトメモ 覚え書きにはイラストも多い
―――マスキャンプや鶴トークなど、今後行う事前イベントについて、どのような準備をされていますか。また、もし可能ならばリサーチの状況についてお聞かせください。
衣装作りのワークショップであるマスキャンプは去年と比べて期間を長くする予定です。トリニダードではマスキャンプだけに参加して衣装作りを楽しむ人もいます。鶴舞でも昨年、パレードには参加しなかったけれど、マスキャンプにはほぼ毎日来てくれた人がいました。それでも彼は衣装作りに役立ったことで満足しており、幸せそうでした。
また、戦後の何もない時代には必要なものをいちから手作りしたことから、太鼓のワークショップではバケツから楽器を作る体験をしてもらい、パレード当日に奏でてもらいます。
リサーチの状況は、戦時中の鶴舞を調査した記録本を読んだり、コミュニティセンターにシニアの方をお呼びし、お話を伺ったりしています。インタビューで特に心に残っているのは、戦争についての報道が自分たちの記憶しているものと食い違っており、語りたいという想いに駆られているのに、場がないため過去について話した経験がほとんどないというお話です。
鶴トークやマスキャンプなどでは自然にかしこまらず、シニアの方々の記憶を伝えられる場にしたいです。今回は戦争がテーマとなりますが、決して若い人たちに悲しい気持ちになってほしいわけではありません。戦争というと、人の命がなくなっているので、相手を尊重する意味で何か悲しい気持ちにならなければならないと思ってしまいます。しかし、それだと当時のことを誰も話さなくなってしまいます。大事なのは当時何があったかを知ることです。
戦時中の歴史を知るための参考資料
―――鶴舞という土地で作品を発表することで、まちの人の反応に変化がありましたか。また、作品に影響がありましたか。
今年はコミュニティのサポートが厚くて驚いています。今回はテーマとして戦争というセンシティブなテーマを扱うため地元の方が受け入れてくれるか不安でしたが、地域の人たちは協力的でいてくれます。鶴舞という土地は昔から住んでいる人も多くコミュニティの繋がりがあり、9年間この地に住んで顔見知りの人も多かったのですが、昨年のプロジェクトを通して自分がどのような活動をしているか知ってもらえたためか、今回のプロジェクトに対して自然に受け入れてくれています。
昨年と比べて地元の方の意見や反応も変わりましたが、一番大きな変化はみなが表現したいことをわかってくれることです。まだ今は始動したばかりですが、マスキャンプが始まればさらに今回のプロジェクトのテーマを充分に理解してもらえそうだと予感しています。
―――今回の事業を通して、どのようなことを期待していますか。
去年はマスキャンプへの登録が50人あって、実際のパレードでは80人になりましたが、今年は100人のパレードを目指しています。どれだけ去年の成果が良かったとしても、さらによいものを作りたいという芸術家としての想いがあります。トリニダードの伝統に沿えばパレードは路上で行うものなのですが、今回も公園という囲まれた空間で実施するので、正確に場所の特徴を把握しなければなりません。衣装が木々にかからないように高さを確認する、車椅子ユーザーの方がよりスムーズに動けるように配置を工夫する、というように昨年の反省点を振り返り、ひとつひとつ解決していきたいです。
また今回は広報活動にも力をいれています。ボランティアの方にパレードのルートに立ってもらい、たまたま公園でパレードの見学をしてくれた方々にチラシを渡して何をやっているか知ってもらう仕組みづくりをします。
このような活動を通じて、コミュニティという概念を変えていきたいです。パレードを個人で行ったのは昨年が初めてでしたが、コミュニティが主体のプロジェクトとなり、よかった面もありました。パレードに興味のある人が参加しやすかったのです。コミュニティとは規模が小さく閉鎖的というイメージがありますが、むしろオープンで拡がりをもつものになりえます。パレードを続けていって興味のある人を取り込んでいき、新しい人のつながりを形成したいです。
パレードの後に参加者も見学者もみなで過ごすために催すマルシェは、自分にとっても新しい試みで、自分のためだけでなく、楽しみにしている人をはじめとするすべての人ために成功してほしいと願っています。
昨年度のマスキャンプの様子 希望する人は誰でも参加することができる @MAS NAGOYA
―――二年連続の事業採択となりましたが、来年度以降に向けてすでに計画されていることがあれば教えてください。
三部作となるこのプロジェクトの最終回では、この地域がどのように変化してきたかを考慮し、多文化的な要素を反映させる必要があります。鶴舞公園についていえば、徐々に発展しながら多文化的なものに変化を遂げています。10年後の未来に鶴舞がどのようになっているかわかりませんが、今現在について語りたいです。
鶴舞で継続してプロジェクトを行うことで、コミュニティにとっても大切な交流が生まれました。今や、鶴舞の人々はこのプロジェクトを知り、興味を示している印象があり、来年のプロジェクトはより容易に進むことを期待しています。
鶴舞公園噴水塔 奥に見えるのが公会堂
*本記事の作成にあたり、グリフィス太田朗子さんにご協力を賜りました。心より御礼申し上げます。
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マーロン・グリフィス 鶴舞公園パレード 参加申し込みフォームはこちら(Googleフォームが開きます・ログイン不要)
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マスキャンプ(衣装作りワークショップ 予約不要) 10月31日(木)~11月15日(金) ※水曜休み 9:00~20:00 場所:レンタルスペースroca
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鶴トーク(当時の公園を知る方を招いたお話会 予約不要) 11月4日(月・祝)13:30~16:00 場所:レンタルスペースroca
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太鼓づくりワークショップ(パレードで使用する太鼓を作り、当日奏でるリズムを考えます 定員10人) 11月10日(日) 10:00~11:00 太鼓づくり、 11月12日(火) 17:00~18:00 演奏体験・リズム作り、 11月14日(木) 17:00~18:00 リズム作り・練習 場所:レンタルスペースroca
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公式Instagramアカウント:@mas_nagoya
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